小さな約束


『○月Χ日
新しい子がきた。
俺と同い年。結構かわいかった。』


去年のあたしが来た日だ…。


かわいいって思ってくれてたんだ。




『○月△日
このごろ調子がいい。
何でだろう。病室にかわいい女の子がきたからかな。』




あたしはページをパラパラとめくった。




『☆月Χ日
新しい元気な子がきた。竜太がおもしろかった。』


光流ちゃんがきた日。
つい最近のことだ。




『☆月○日
なんだか胸が苦しい。
先生と話をした後、お袋の顔色もおかしかった。俺やばいかも。』




『☆月■日
このごろ本当に調子が悪い。俺死ぬかも。俺が死んだら葉奈は悲しんでくれるかな…。』




『☆月△日』


健ちゃんがいなくなった日…。
この日だけ日記は長かった。




『今日、葉奈が謎だった。「す」って何だ??顔が真っ赤でかわいかった。

できたら本当の気持ちを伝えたかった。でも…それはだめだ。俺がいなくなった時、葉奈が悲しむのだけはいやだ。それだけは絶対…。


みんなでババ抜きをした。
負けた。好きな人は言わなくてすんでよかった。
葉奈は俺に好きな人がいると知ってどう思っただろう…。


本当は言いたかった。でも言えなかった。俺は葉奈に悲しんでほしくないから。だから強く誓ったんだ。


でも…。


欲を言うと言いたかった。愛する人に言いたかった。


葉奈…君のことが好きだったと…。
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