小さな約束
ポタッ
涙がひと粒、きれいで几帳面な文字の上に落ちた。
『もし俺が健康な人だったら葉奈に告白できただろうと思う。
でも、もし俺が病気じゃなかったら葉奈には会えなかった。
だから俺はこの病気のことを恨んではいない。
最後まで葉奈の笑顔を見守ることができてよかったと思う。
だから葉奈には絶対悲しんでほしくない。俺の屍を乗り越えていってほしい。前を向いて歩いていってほしい。
竜太、光流、葉奈、ありがとう。
俺は幸せだった。』
「うっうっううう…
うあああーーー!!」
声を出して泣いた。
ボロボロ泣いた。
健ちゃんがそう思ってくれてたなんて知らなかった。
健ちゃんの深い優しさが身にしみた。
「葉奈!?大丈夫か!?」
「どうしたの!?大丈夫!?」
竜ちゃんと光流ちゃんが駆けつけてくれた。
その奥には泉くんもいた。
あたしは幸せ者だとみんなに深く感謝した。
葉奈Side★終了