小さな約束


「あんたさぁ、何でそんな人の悪口ばっか言うの??」




「は??」




そんなこと言われたのは初めてだ。




「てか、そんなにくまれ口をお母さんとかお父さんは何も言わないの??」



「…言わねぇよ」




「ふーん。変なの」




心底不思議そうな顔をして光流って女はそっぽを向いた。




あぁこいつは家族や友達に囲まれ、毎日幸せに暮らしてたんだな。




そしてこいつは、病院や悲しみからは全く無関係な人間なんだと俺は悟った。




幸せそうな奴を見ているとイライラする。




「俺さぁ母さんいないんだ」




「え??」




「あと俺さ、がんなんだよな」




「…え??」
< 8 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop