小さな約束
今日の昼間、葉奈が大泣きしていた。
理由はわからなかったが、涙をたくさんためた目は、しっかりと前を向く、確かなものだった。
その日俺は安心して眠りについた。
〜☆〜★〜☆〜★〜☆〜
気がつくとそこは一面の花畑だった。
見渡す限り花、花、花。
たくさんの種類の花が咲き、とても美しかった。
そこで俺は考えた。
――ここはどこだろう…。
一本花を摘み取り、そっとにおいをかぐ。
――においがしない…。
ふと空を見上げた。
そこには小さな子の落書きのような雲が一つ浮かんでいた。
――あぁそうか。これは夢だ。
俺はその場に寝転がった。
――なんか不思議な夢だなぁ…。
子供の落書きのような鳥が、俺の頭上をふらふらと飛んでいった。
――竜太…。竜太…!!
――え…??
どこかで俺を呼ぶ声が聞こえた。
俺はゆっくりと頭を起こし、周りを見渡した。
――えっ…!?
一面の花畑の向こうで健一が手を振っていた。
しかし健一はすぐ踵を返し、走っていってしまった。
――健一っ!!
俺はすぐに健一を追いかけた。
しかし健一との差は広がる一方だった。
――おいっ健一!!待てよ!!
俺は息を切らしながら叫んだ。