小さな約束
「なんかすごく楽しそうだった」
葉奈は目を細めながらそうつぶやいた。
「お前らに伝えたかったんじゃねーの??」
泉は少し寝ぐせがついた頭をかきながらそう言った。
「は??」
「何を??」
「だから〜『ありがとう』って!
健一ってやつすごい幸せだったんじゃねーの??
お前らにすっげえ感謝してさ。どうしてもお礼言いたかったんだよ」
泉はふっと笑った。
「よかったな。
そういう友達持てて」
「「「うんっ」」」
感謝か…。
泉が言っていた言葉をゆっくりと心の中で繰り返した。
『本当にありがとう』
「え??」
どこからか健一の声が聞こえた。
俺もお前に感謝してるよ。
ありがとう…。
心の中で小さく返事し、ふと窓の外を見た。
空は青く澄みわたり、太陽はまぶしく輝いていた。
健一。俺、新しい一歩を歩きはじめようと思う。