小さな約束
カルテ6
「ねぇ大丈夫かなぁ…」
「大丈夫。簡単な手術だって言ってたし」
「ねぇ、お姉ちゃん大丈夫だよね…」
「大丈夫」
今日はついに光流の手術の日だ。
本人と医者は大丈夫だと言っていたが、正直不安だった。
しかし俺と泉はそんな心配をするヒマもなく、不安がる葉奈と芽依を元気づけるのに必死だった。
「いつ…終わるのかな」
葉奈はチラリと時計を見る。
「遅いよねぇ!なんかあったんじゃないかな」
芽依は頭を抱え、座りこんでしまった。
こんな小さい子にこのプレッシャーに耐えきることができるのか不安に思った。
「さっき入ったばっかりだよ。心配しなくても大丈夫」
泉がそっと頭をなでた。
よく見ると芽依は唇を噛み締め、ガクガクと震えていた。
俺らは病室で待たされていた。
芽依は身内なのだから手術室の前でいいと思ったが、ここにいて正解だったと思う。
あそこの重圧に、この子はおそらく耐えきれないだろう。
ガラッ
突然病室の扉が開いた。
看護士が数人ベットを押しながら入ってきた。
ということは―…。