小さな約束
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「みんな持った??」
「ああ」
「行った??」
「ああ。今だ!」
俺の号令でみんな一気に走り出す。
そのまま一直線に階段をのぼった。
そして屋上の大扉をゆっくり開ける。
「おおー」
「すごーい!」
泉と葉奈が感嘆の声を上げる。
この二人は夜の屋上は始めてだった。
今日も夜空もいつもと変わらずきれいだった。
「よしっじゃあ始めよっか」
「おお」
そしてみんなでカッターを取り出した。
「おい竜太。どこに書くんだ??」
「ここ。ここならみんな見ない」
とみんなを扉の裏へ連れていく。
「よし、書くか」
光流の提案はこうだった。
『今日の夜、ここでみんなで派手にやろっ。』
その後葉奈と泉に言うと、あれもやろうこれもやろうとすごいことになってしまった。
まず最初はみんなの願いを病院に刻むこと。
みんなやる気満々だが、俺は何を書けばいいのかわからなかった。
「竜太も早く書けよ!」
「何書けばいいんだよ」
「何でもいいよ」
葉奈がにっこりと笑う。
みんなが何を書いたのかちらりと見た。
『光流ちゃんがバスケで優勝しますように。 葉奈』
『いつまでもみんなが笑っていられますように。 泉』
『みんなの病気が治りますように。 光流』
「……」
やっぱり…自分の願いはみんなの願いなんだ…。
少し嬉しくなる。
「さっさと書けよ!」
「わかったよ」
泉に言われ、カッターの刃を壁にあてる。
ガリガリガリ