小さな約束


★・-・◇・-・★・-・◇・-・★


「みんな持った??」


「ああ」


「行った??」


「ああ。今だ!」




俺の号令でみんな一気に走り出す。




そのまま一直線に階段をのぼった。




そして屋上の大扉をゆっくり開ける。




「おおー」


「すごーい!」




泉と葉奈が感嘆の声を上げる。


この二人は夜の屋上は始めてだった。


今日も夜空もいつもと変わらずきれいだった。





「よしっじゃあ始めよっか」




「おお」




そしてみんなでカッターを取り出した。




「おい竜太。どこに書くんだ??」




「ここ。ここならみんな見ない」




とみんなを扉の裏へ連れていく。




「よし、書くか」




光流の提案はこうだった。




『今日の夜、ここでみんなで派手にやろっ。』




その後葉奈と泉に言うと、あれもやろうこれもやろうとすごいことになってしまった。




まず最初はみんなの願いを病院に刻むこと。




みんなやる気満々だが、俺は何を書けばいいのかわからなかった。




「竜太も早く書けよ!」




「何書けばいいんだよ」




「何でもいいよ」




葉奈がにっこりと笑う。


みんなが何を書いたのかちらりと見た。




『光流ちゃんがバスケで優勝しますように。 葉奈』


『いつまでもみんなが笑っていられますように。 泉』


『みんなの病気が治りますように。 光流』




「……」




やっぱり…自分の願いはみんなの願いなんだ…。

少し嬉しくなる。


「さっさと書けよ!」




「わかったよ」


泉に言われ、カッターの刃を壁にあてる。




ガリガリガリ
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