小さな約束


「なんて書いたの?」


光流が大きな目をくりくりさせて聞いた。


「なんでもねーよ」




「みんなの絆がいつまでも続きますようにだって」


葉奈が大きな声で読み上げた。




「読むなよ!」




「心配すんな!俺らの絆は絶対消えない!!」




泉は笑顔で叫んだ。


なんだかジーンときてしまった。




「うっせぇ!ほらお菓子食うぞ!」




「そうだね、食べよっ」




葉奈は柔らかに笑い、袋の中のお菓子をぶちまけた。




そういえば、お菓子やジュースを持っていって宴会をしたいと言ったのは葉奈だった。




消灯時間があり、時々看護士が見回りに来る俺らにはほとんど夜の自由はなかった。




だからテレビとかでよく見る宴会にすごく憧れていたのだ。




「よしっじゃあ乾杯しよっ!」




「おう!じゃあここは一つ俺が…」


コホンと咳払いし、泉は高くコップをあげた。




「光流の退院と俺達の絆に…乾杯っ!!」




「「乾杯っ!」」




コツンと紙コップを当て、一気にジュースを飲む。


炭酸が体の中をめぐり、泡がはじける音がした。




「くぁー。うまいな!」


「竜ちゃんおっさんみたい」


「俺はまだ若い」




それから俺達は飲んで食ってをずっとしていた。


最初は興奮して、バカみたいに笑ってたけど、なんだかいきなり寂しくなってしまった。
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