小さな約束
もしかしたらあの不思議な月のせいかもしれないと、詩的なことを考える。
あの秘密のキスは絶対忘れないから!と、竜太を見つめながら強く念じた。
「お前らはいいじゃねーか。俺らなんかお前らが来るまでもずっと説教受けてたんだぞ」
泉が生気のない声でつぶやいた。
「てか光流ちゃんと竜ちゃん一晩何やってたの??」
葉奈が目をパチパチさせながら聞いた。
あたしは顔が熱くなるのを感じた。
「寝てた。ファーアァ…」
竜太は大きなあくびをした。
ガラッ
婦長が突然扉を開けた。
「光流さんの親御さんは昼前にお迎えに来ると言ってました。
用意しといてくださいね」
「あ…はい…」
そっか…。
あたしもう退院するんだ…。
今まで忙しすぎて忘れていた。
「光流ちゃん、病室戻ろっか」
「うん」
寂しそうに笑う葉奈に、あたしは少し心が痛んだ。
光流Side★終了