小さな約束


もしかしたらあの不思議な月のせいかもしれないと、詩的なことを考える。




あの秘密のキスは絶対忘れないから!と、竜太を見つめながら強く念じた。




「お前らはいいじゃねーか。俺らなんかお前らが来るまでもずっと説教受けてたんだぞ」




泉が生気のない声でつぶやいた。




「てか光流ちゃんと竜ちゃん一晩何やってたの??」




葉奈が目をパチパチさせながら聞いた。


あたしは顔が熱くなるのを感じた。




「寝てた。ファーアァ…」




竜太は大きなあくびをした。




ガラッ




婦長が突然扉を開けた。


「光流さんの親御さんは昼前にお迎えに来ると言ってました。


用意しといてくださいね」




「あ…はい…」




そっか…。


あたしもう退院するんだ…。


今まで忙しすぎて忘れていた。




「光流ちゃん、病室戻ろっか」




「うん」




寂しそうに笑う葉奈に、あたしは少し心が痛んだ。






光流Side★終了
< 99 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop