A型の僕とO型の君
「いい樹くん!あ、あいらぶゆー!!」
私は動転して樹くんの前にでると
無我夢中でそう叫んでしまった。
つぶっていた目を開けるとぽかーんとした樹くんの顔
とそれから周りを見渡すと「ままー、あいらぶゆーってなに?」ってお母さんらしき人の袖をひっぱる女の子。
そしてそれによって、我に返って「見ちゃいけません!」ってそくさくと去る親子や
ニヤニヤと今にも口笛を吹きそうな男子小学生のガキンチョたちなどなどがいた。
うわぁ~ん
やっちゃったあ~
恥ずかしすぎる!!
瞬時に私の顔はトマトみたいに真っ赤かになってしまった。
それに追い討ちをかけたのは携帯から洩れる
クスクス笑う楓の声と
「若いっていいわねェ」っていう千穂美のからかいの声だった。
そういえば切ってなかったんだ。
恥ずかしくて自分の靴を見た。
だんだんと私の目に涙が溜まっていった。
それが今にも零れそうな時、
「あのー、樹って・・・俺のことですよね?」
俯いていた顔をあげると
そこには私以上にトマト色の顔があったのだった。