恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon
「あたしのこと、好きにしていいですから。でも、その代わり、あたしの小説を出版してください」

本当はそう言うつもりだった。

けど実際あたしのクチから出てきた言葉はちがった。

「待たせてすまないと思うなら、お詫びにあたしの小説を出版してくださいっ!!」

「そ、ソレとコレとは話が別ですよ……」と困った様子で、再びポケットから取り出したハンカチはダンゴのように丸まっていた。

「真田さんとのカンケーを拒んだから……だから、あたしのを選ばなかったんですか!?」

「今の発言……僕をナメてる発言ですよ」
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