恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon
第5章「サクラの如き君なりき」
吹き抜ける夜風がヤケに冷たい繁華街。

小説家としてプロデビューするという夢が終わったあたしの前に、暗転して今度は別の夢……それも悪夢の世界が広がっていた。

「大村ぁ、お前、全然学校に来ないから、先生、心配してたんだぞぉ」

「心配してるのはあたしのほうだよっ! 先生、あたしのカレシになってくれるって言ったのに、なんでこんなオンナなんかといっしょにいるワケっ!?」

だけど何かを言おうとした先生より先に、不快感もあらわなナメクジ女が答えた。

「なに、このコ? 正行はあたしのカレシなのよ。あなたのカレシになるなんて言うはずないじゃない。夢でも見てたんじゃないの?」

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