恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon
少なくともあのナメクジ女に比べればカワイイはずのあたしがひとりなのに、なんであんなオンナにカレシがいるのかと思うと、自転車を暴走させて無差別通り魔をしたいような衝動にすらかられてしまう。

そっか……夜風がヤケに凍(し)みるのは、あたしがひとりぼっちだからなんだ。

そのとたん無差別通り魔の衝動よりも、うらやましいという思いのほうが強くなった。

あ~ァ……あたしにもカレシがいれば、ギュッと抱き締めて、このカラダの震えと止めてくれるはずなのに……。

たぶん今のあたしなら、ちょっとやさしくされただけでコロッと落ちてしまうと思う……たとえ相手の男のヒトにエッチな下心しかなかったんだとしても。
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