恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon
「カットくん……?! 美容院……?! おいおい、ひょっとして、その髪切り虫(カミキリムシ)野郎、サキちゃんのカレシなのか?!」

脇でゴチャゴチャ言ってるけど、あたしにはそれどころじゃない事件が起きてた。

この大事なときにカットくんにメールが送信できないんだ。

どうも、さっき“自転車がパンクして遅れるかもしれない”ってメールをした時点でポイント切れになってたみたい。

「おい、聞いてんのかよ?! そのカミキリムシ野郎はっ……」

「もォ、ウルサイ! コッチは美容院の場所が訊けなくて焦ってるんだから、少し黙っててよ!」
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