恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon
返してもらえるかどうかも分からないお金を、よく知りもしないあたしなんか貸して、そのうえ頼まれもしないのにパンクの修理までしてくれるなんて、このヒトっていいひと?

いや、やさしくしてあたしの気を引こうとしてるだけだよ。そーはいくか。あたしにはカットくんがいるんだから。

数分後―――

コンビニ店内から出てきたあたしは、お店の前にしゃがみこんであたしの自転車のパンク修理をしてくれているアイツに言った。

「借りたお金は必ず返すから、“カラダで払え”とか言わないでよ」

「おいおい、いつの時代の借金取りだ」

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