恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon

「そ、そっか分かった。そんじゃ、オレ、配達の途中だから」

そう言って、まだ頬が赤いままの彼が自転車をスタートさせ、その背中に向かって、まだ頬が熱く火照ったままのあたしが言う。

「うん、お仕事ガンバって。あとサンタさんにヨロシクぅ~♪」

「サキちゃんもガンバレよ!」

「言われなくてもガンバってるよ♪」

彼に遅れてあたしもペダルを踏み込み自転車をスタートさせる。

そう、あたしは今ガンバってる。

< 196 / 201 >

この作品をシェア

pagetop