恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon
ふたつの夢が自転車の前と後ろのタイヤのようになって、疾風怒濤の勢いで1秒ごとにあたしを新しい世界へと運んでいく。
こないだまで狭い部屋の中にじっと引きこもってたあたしが、今じゃロードレースの世界最高峰を目指してるなんて夢みたい。
いや、もしかした本当に夢を見ているのかもしれないけど……。
でも、それでもいい。どっちが夢か現実かなんて悩んだところで結局分かんないんだし。
少なくとも今12月の冷たい北風が……ソレが揺らす伸びはじめた髪と、ソレが当たってちぎれそうに痛いふたつの耳、そしてソレがチクチクと突き刺さる太い足は、本当の……リアルなあたしのカラダの一部。