恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon
そのとき、目の前に広がっていたはずのバラ色の人生が、淡くはかない夢のように消えて見えなくなってしまった。
もしかしたら若い男性特有のフェロモンでも出ているのか知らないけど、まるで甘い蜜の香りに誘われた虫のように生徒達がいつも先生のまわりにたかっていて、中にはコクったコもいたみたいだけど、そのことごとくが撃沈しているのを実は知ってた。
けど、フラれる気がしなかった。
アノやさしい目は、あたしひとりだけに見せてくれているものだと思ってたし、“自分は他のコたちとはちがうんだ”って思ってたから。
でも、それは自分勝手な思いこみだった。