恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon
「いくらテストの自信がないからって逃げるのは母さん許さないよ!」
「許さないのはあたしのほうだよっ! “逃げる”なんて言い方されたんじゃ、あたしのプライドが許さないっ! 分かったよっ! 行きゃあいんでしょ、行きゃあっ!」
ソッコー制服に着替えたあたしはドアを蹴破る勢いで部屋を飛び出し、3日前からおフロに入っていなかったせいで、ちょっとネチネチしていた髪もそのままで登校した。
だけど2時限目の数学のテストのときには、早々にテスト用紙を裏返しにして、その上に上半身をうつ伏せて寝てしまっていた。
……と、不意になにか硬いものの角(かど)のようなものでコツンと後頭部を叩かれる。