恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon

ちなみにあたしは白い炭酸系のジュース、真田さんは氷を入れただけの水だった。

そしてジュースをゴクンとひとくち飲んだあたしは「あのぅ……」と言葉を切り出した。

どの作品を出版するかを決定する月末の会議まで残すところあと1週間。今、訊きたいことがあるとすれば、それはただひとつ。現在の選考状況についてしかなかった。

だけど訊きたいのに、結果を知るのが怖いような気持ちもあって、「あのぅ……」のあとの言葉がまったく出てこない。

「どうしたんです? モジモジして。いつもは思ったことをハッキリ言えるのに、なんだか彩輝クンらしくありませんね」と微笑むメガネの下の目がすごくやさしかった。
< 87 / 201 >

この作品をシェア

pagetop