恋の心霊スポット


…記憶が途切れるのはあの時。



誰かが「莉玖」って叫んでた時――


つまり私は飛び降りた時に死んだんだ。




「で、あんた幽名どうすんの?」


「あ…えっと…あの、その前に…私いつまで幽霊じゃなきゃいけないんですか?」


「好きな時までよ。成仏したいならこのアパートのエレベーターに乗んなさい。成仏できるから。」


うわ、簡単だしテキトーだ。


でも死んだってことは私のお葬式とか見てみたい。

それから最後に先生にも会いたい…

ちょっと嫌だけど莉緒の受験結果も知りたいし…

学校の友達にも会いたい…


それから―――


最後のあの声が誰だったか知りたい。



案外未練があるな私。
幽霊になれて良かったかもしれない。


だけど不思議と悲しくない。

むしろ清々しい感じさえする。

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