天使と呼ばれたその声を
「ミチル、買い物付き合ってよ」
放課後、1人で掃除を任された教室で机を持ち上げていた私に意地の悪い声が降りかかった。
難色を示さないように、何時もの作り笑いで応えるた。
「…。今月、お小遣もうないし」
「ふーん」
「……」
「じゃあ、さ?バイト紹介するよ?」
携帯を片手に操作しながら、口角が上がっている。“バイト”の内容は、聞かなくても理解出来た。こいつらがそのバイトの話しをしているのを聞いたから。語尾に「ミチルにやらせよ」って付け加えて…。
…それだけは嫌だ。
なのに、なのに。
「本当に?ありがとー」
……もう、消えてしまいたい。