天使と呼ばれたその声を
どうやら、バイトの計画は朝には決定していたらしい。
逃げられないように、わざとらしく肩を抱かれて歩く繁華街はとても華やかな場所には映らなかった。
擦れ違う人達の笑い声が、まるで私の生き方を嘲笑っているかのように思えてくる。
「9時に約束してあるから、ココで待ってて。アタシら、あそこのカフェで待ってっから、まぁ…2時間位?」
背中に冷や汗が伝う。
そんな私の気持ちも少しも汲み取ってくれない女共は、私を置いて人込みに消えていった…。
時刻は、8時55分。
怖くて俯くと、小刻みに震えている足が視界に入る。
こんな事なら、昨日のうちに眠ればよかった。死神にそこはダメだって言われても、そうすればよかったんだ。