天使と呼ばれたその声を


その時、前方から数人の男の人達が走って来た。

「ソラさん!大丈夫ですか!?」


その人達を確認すると同時に腕を掴んでいたソラの手が離れる。

「ソラさん、走ったらダメだってキョウさんが言ってたじゃないですか…」


ソラを囲む男の人達はその姿形から想像も出来ない程に敬語を使う。私ならこんな風格の人には怖くて近寄れない。

そんな人達に労られているソラは一体どんな人間なのだろうか。一見。端から見たら、小さな女の子をナンパか因縁を付けているようにしか見えない程の違和感がある。


「ごめん。厄介事になった」

「キョウさんが心配してるので、バーに向かって下さい」


ソラは小さく頷くと、“で?厄介事って…?”と言葉を続けた。視線が私に向けられる。


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