天使と呼ばれたその声を


「その子に聞いて」


確かに、私はソラに助けてと言った。だけど“何に助けて欲しいのか”は伝えてはいなかった。後ろからは私を探す声は聞こえない。もう諦めて帰ったのかもしれない。
だとしたら、これ以上助けてもらう必要がなかった。十分助けてもらったから。


「…えっと…」

もう大丈夫ですって、伝えようとした時、


「女。3人組の。1人は茶髪の巻髪、もう1人はデニムのミニ。後の1人は後ろでわからなかったけどハスキー声」


一体、いつアイツ等をその目で確認したのかは謎だった。でも、ソラが言う特徴は的確だった。紛れも無くアイツ等の姿形で、私の頭の中に直ぐにアイツ等の姿が映しだされる。

それを言って、アイツ等がどうなるかは分からないけど、ソラは、


「見つけたら連れて来て」


と、無表情のまま伝えた。

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