天使と呼ばれたその声を
死神なんてもんじゃない。
ソラはまるで…。
「ソラはこの辺りじゃ、天使の声って言われてる」
キョウは私の心の声を代弁してくれた。声だけじゃない。唄うその姿もまるで背中に真っ白な羽根が生えているように見える。
ずっと見つめていると、さっき抑えた感情の波が溢れてしまいそうだった。いや、もう遅い。とめどなく涙が溢れていた。
それは、既にアメイジング・グレイスを唄い終わった後の次の曲。ソラのオリジナルだと思われる曲の歌詞に…
“泣いてもいいんだよ。泣いた分だけ人は幸せになれるんだよ”
って唄うから。また勘違いしてしまう。こんなに人がいるのに、私にだけ、私に向けて歌ってくれているような気がした。