天使と呼ばれたその声を
行き着く場所はやっぱりココだ。何故ココなのかは分からないけど、沢山のビルや建物がある街並みの中で決して高くはないこのビルの屋上はとても見晴らしがよかった。それが角度の関係なのか、なんなのかは知らないけど…。
そして当たり前のようにいる、キャンドルの頼りない光に照らされて、声を振り絞るように真っ暗な空に向かって唄うソラ。
邪魔しないようにそっと隣に体育座りをしてその歌に耳を傾ける。
「サボり?」
ソラは唄うのを辞めてギターだけでメロディーを奏でていた。
「また飛び降りたいの?」
「……」
「ねぇ、ソラ」
「ん?」
「私とソラって友達だよね?」
その質問にソラは何も答えなかった。特に考えているわけでもなく、相変わらずギターをいじっている。