天使と呼ばれたその声を
「アンタさぁ…」
やっとギターの弦を弾くのを止めたソラは私を真っ直ぐに見つめる。
「アンタが動けば世界が広がる。世界が広がれば違うものが見えてくる。そうやって人のせいにしてなんの価値があんだよ」
「……」
「それとも、昨日の友達だって言う奴らに言ってこれまで通りに付き合って、ココで飛び降りる?」
まだ曲のついていない歌詞みたいな台詞を並べるものだから、素直に心に染み渡る。
別に、戻りたいってわけじゃない。また絶望に打ちひしがれてしまうのかって思うとウンザリする。
「キッカケなんて沢山あんじゃない?」
「例えば…?」
「自分で考えな」
ソラはきっとわからなかったんだと思う。それは私も、誰でも同じだ。沢山あるから分からない。逆に考えれば分からない程に人と人との接点は溢れているんだ。