天使と呼ばれたその声を

店の外に出たキョウは少しだけ照れ臭そうに首の後ろを掻くと、私と一緒に外に出た理由を口にする。


「3日後」

「はい…」

「ソラの誕生日だ」

「え!?」


ソラの誕生日がもう直ぐで慌てたわけではない。忘れてた日にち…3日後は。


「18になる女は何が欲しい?」

「………」


私の誕生日だった。
きっと、ソラみたいに誰かがこんな風にその特別な日を“特別”だって思ってくれているのであれば、ちゃんと忘れずに覚えていられるのだと思う。

今まで生きて来た中で、誰かと一緒にその日をに過ごした事のなかった私にはキョウに大事に想われているソラがとても羨ましい。

その日、私も誕生日なんだよって言える度胸なんてないし…。

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