天使と呼ばれたその声を


思えば、ソラに何も返せていない私はソラに何か感謝の気持ちを伝えたかった。だから、同じ誕生日だって事は、心の奥の奥にしまい込み、笑顔で答えた。


「ソラは何が好きですか?」

「分からねぇ…」

「去年は何をあげたの?」

「今回が初めてだ」

「……」


プレゼントっていうのは、その人の事を想って選ぶ物だ。例えば色。デザイン。しかし、ソラの事を考えても何も浮かばないのは何故だろうか。

普段見ていても、何にも興味を示さないソラ。気高いノラ猫みたいに気ままに我が道を行くって感じのソラ。私が知る限り、ギターを弾くか、ソファで寝てる姿しか分からない。口数も少ない…。


「取りあえず…見て回りますか?」

「あぁ、悪ぃな…」

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