天使と呼ばれたその声を
キョウがどんなに悩んで選んだプレゼントよりも、敵わないと言う、ソラではなく“HARU”と彫られた年期が入ったギター。
それを泣きながら力強く抱きしめるソラ。
「また、泣いてたか」
毛布を持ったキョウはそれを静かににかけてあげて、優しくソラの頭を撫でた。とても哀しそうな瞳で…。
どうやら、ソラがこうして泣きながら寝ている事は初めてじゃないらしい…。キョウはその理由を知っているらしい…。
だけど、ソラが泣く理由が聞けないのはとても聞ける状況ではなかったから。周りの雰囲気からして可笑しいのはバカな私でも理解出来る。
結局、この場に居ても部外者の私が土足で踏み込んではいけない絶対領域があって、触れてはいけない事のように感じた。