天使と呼ばれたその声を

折角見つけた居場所が孤独を感じる世界に変わる。


「私、帰ります」

「ミチル」

「ソラによろしく伝えてて下さい」

「あぁ、また明日な」


“また明日”はプレゼント選びの事。何故、キョウはソラをそんなにも愛せるのだろうか。恋人でも友達でもない2人の間にある関係ってなんだろう。
…それは、2人にしか分からない事。踏み込んではいけない領域。


「待て」


動き出した私にキョウの声が静止させる。

「送らせる」


オィ!と近くにいる数人の人に声をかけると、その人達は静かに頷き私の所に歩み寄ってきた。送りますって言われたが、


「いえ、自宅は近いのでいいです」

「駄目だ」

「……」

ズルイと思った。
キョウとソラは私に境界線を引いてそこから内側には行かせてはくれないのに、無断で私の内側に入ろうとする。


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