天使と呼ばれたその声を
わかってはいる。こんな夜中に制服姿の私が繁華街を歩いたら危ないって事。キョウの優しさだってちゃんと頭では理解はしているのに心は拒絶する。
だけど、2人と一緒で、これは私の領域。誰にも知られたくない絶対的なものだった。
「他の人に送らせる位なら、キョウさんが送ってよ!」
きっとキョウが送るって言っても断ったと思うけど、キョウを黙らせるにはそう言うのが効果的だと思った。ソラから離れようとはしないのがわかっていたから。どんなに感情的に叫んでも、眠りながら涙を流すソラの方が大事だってわかっていたから。
…それなのに。
「わかった」
キョウはソラから離れ立ち上がった。別にそんなつもりで言ったわけじゃないのに。何故分かってくれないのだろうか。
私は少しずつ後退りをすると、そのまま勢いよく店を飛び出した。
「ミチル!!」