天使と呼ばれたその声を
全く動こうとしないお母さんに痺れを切らした私は微笑みながらため息を一つ吐き捨てる。
「…一緒に病院に行こう?」
お母さんの傷も心配だったから、支えるようにゆっくりと家から出た。
こんな時間に診察している病院といったら総合病院位で、ここから徒歩で行くのにはかなりの距離があった。タクシーを使える程お互いに持ち合わせがなくて、ただゆっくりと繁華街を支え合いながら歩いた。
頭痛が鳴り止まない。意識が何度も途切れそうになるのを堪えながらも、足を前に進めなくてはいけない。
お母さんの足取りもおぼつかず、意識を失いかけている…。
ここで死ぬのかもしれない。
あの時、眠らなくてよかったって今更ながらに思う。初めから…生まれた時からこうなる事が決まっていたから眠れなかったんだ。