天使と呼ばれたその声を
「…それだけ」
お互いに無言になった時、妙な緊迫感があった。視線が絡み合い…だけど、どちらが何を聞いたり話したりするわけでもなく会話は終わり、ソラは病室を出て行った。
正直ホッとしている。やっとまだ頭痛の引かない頭を休める事が出来る。
何故、ソラがあの時タイミングよく現れたのか。疑問には感じていたけど、生徒手帳に書かれてある住所を頼りに鞄を届けてくれようとしたのだ。
家に来られなくてよかった。
そう考えると、あのタイミングで父親が私を殴った事を少なからず感謝してしまう私はやっぱりどこかおかしい。完全に麻痺してると思う。
白いシーツに包まり、瞼を閉じたら何故か涙が滲んだ。
早くココから出なきゃいけない。少しでも入院費用を少なくしなきゃいけない。