委員長のヒ・ミ・ツ
煌びやかな空間。着飾ったオンナたち。


酒が入った男たちは、気分がよいのか、オンナたちと会話が弾んでいた。


そう、ここはキャバクラ。


私も、ほかのオンナたちと同じように、隣に座っている男のお酒を作ったりしながら、楽しそうに話をしている。


こうみえて、店ではナンバー1だったりする。


もちろん、高校生でキャバクラなんて、違法だ。


だから、面接のとき、19歳とサバよんだ。


もともと、化粧映えのする顔立ちだったし、マネージャーはすんなり信用した。


それから、あっという間に売れっ子に。


今では、店の売り上げの大半を私で稼いでいる。


だから、少々のわがままも聞いてもらえる。


今日もお得意様の同伴で出勤。


店に着いたあとも、私を指名する客が絶えない。


「ルリカちゃ~ん」


また、およびがかかった。


ちなみに、ルリカとは源氏名。


「キミ、ちょっとモデルの加藤ルリカに似てるね」


マネージャーの一言で、源氏名が決まった。


私は、客に「ちょっと失礼」と断って、席をはずす。


私を呼んだ黒服の元へ行くと、「8番テーブル。柴田さん」と言われた。


柴田さんとは、最近店に来るようになった新規のお客さん。


職業は、カメラマンらしく、私をモデルにしたいと口説いていた。


もちろん、そんな気はない私はいつもやんわり断っているのだが・・・・。


「アツさ~ん。お久しぶり♪1週間ぶりかな?」


柴田さんは、本名が柴田篤さんといって、「アツって呼んで」と言われていた。


「ルリちゃ~ん。会えなくて寂しかったよ」


「あたしも寂しかった~」


一通りのお約束を言った私は、ふとアツさんの隣に座る人物に気がついた。


いつもは、アツさんは、後輩や、スタッフと来る。


けど、今日の連れは、キャップを目深にかぶり、メガネをかけている。


「こんばんわ~お兄さんは、初めてですかぁ~?」


とりあえず、その男に挨拶をしてみるが、反応なし。





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