委員長のヒ・ミ・ツ
結局担任からは、秋の修学旅行の班決めを来週のHRで決めておくようにとの事だった。


「片瀬は、本当に、行かないのか?」


私の家庭事情を知っている担任には、「修学旅行の不参加」を前もって伝えていた。


「ええ。経済的にも、余裕ないですし。」


本当は、貯金を崩せば参加できる。だけど、これといって行きたいとも思わないし、だったら欠席のほうが楽だ。


「そうか・・・。仕方がないな。北海道土産、買ってきてやるよ。何がいい?」


「気を使わないでいいですよ。先生は楽しんできてください。」


「そうか?でもなぁ。たまには心配させてくれよ?お前は他の奴らとは違ってしっかりしているが、まだ高校生なんだし・・・。」


「大丈夫ですよ。何とかやれてますから。」


「そうだな。まぁ、何かあったら、いつでも相談には乗るからな。」


「ありがとうございます。では、失礼します。」


先生の言葉は、嬉しかった。


こんな、とっつきにくくて可愛げの無い私の事も心配してくれる。


本当は、修学旅行、行けたら楽しいだろうけど・・・・。


私は、小学校のときに行った修学旅行を思い出した。


あの頃は、こんな私ではなくて、もっと明るくて元気があって・・・。みんなと騒ぎながら観光したり、夜は友達と好きな人の話をしたり・・・・。



中学は・・・・思い出したくもない。


あんなの。


行くんじゃなかったって、何度も思う。


だから、今回も行かない。


きっと、行って後悔するような気がするから。


中学とは全く違う私だけど。


一緒に見て周る友達も居ないし、行ってもつまらないだけだから。




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