あたしの秘密





ガラッ…



「もうチャイム鳴るぞー。みんな席につけよー」



空気の読めない先生の呑気な声が教室に響く。




「ほら、森高も早く席に戻りなさい」



「はい。すいません、先生」



「いやいや、怒ってるわけではないから。謝らなくていいぞ」


にかっと笑う先生。



あたしは声を出さずにぺこりと頭を下げ、席に着いた。





助かった。



今は先生の空気の読めなさに感謝だわ。






……難を逃れたと思っていた。


『一難去ってまた一難』



悲劇は始まったばかりだった…。






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