《詩作家の国のアリス》
<燈る蝋燭 揺れる紅提灯 この世の沙汰は万華鏡>
トモるロウソク ユれるチョウチン このヨのサタはマンゲキョウ

ここは特に意味は無く、情景の鮮やかさと語呂の良さで書きました。



<苦海を泳ぐ長蝶尾 潮辛い水を飲まぬ術は無く>
クカイをオヨぐナガチョウビ シオカラいミズをノまぬスベはナく

これは【苦界】と【苦海】をかけたものです。

それから長蝶尾というのは【ロング蝶尾】という金魚の種類です。
赤くてヒレの長い金魚です。



<幾重にも重ねた布の果て やっと貴方に逢えた>
イクエにもカサねたヌノのハて やっとアナタにアえた

幾重にも重ねた布は着物のことです。



<共に狂いませぬこと 三枚歯の下駄 脱ぎ捨てて床に入りませう>
トモにクルいませぬこと サンマイバのゲタ ヌぎスててトコにハイりませぬ

三枚歯下駄は遊女の中でも格が高い花魁が履いていたとされる履物。
文字通り三枚の歯がある下駄です。



<厭ならばほんの少しの悪戯を 私は 横へ行きたいの>
イヤならばほんのスコしのイタズラを ワタシは ヨコへイきたいの

【横へ行く】とは廓言葉で【間夫のところへ行く】、つまり遊女が本命の男性の所へ行くという意。




<指きり拳万 嘘は吐かないで>
ユビきりゲンマン ウソはツかないで

【指きり】とは廓の中で実際にあった、愛の誓い立ての方法の一つ。
自分の小指を切り、意中の男性に送ったとか。



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