悪いけど私モテます！
「いらっしゃいませ。」


30代中ばくらいの品のある女性が来店した。


高い着物ばかりを見ている。


「本日はどの様なお着物をお探しですか？」


「そうねぇ、明るい感じのを。」


「でしたら、このお着物なんてお似合いですよ。」


そぅ言い、私は赤の部分絞りの入った着物を広げて見せた。

「う～ん？あなたみたいな若い子には良いけど私にはちょっと派手すぎちゃうわ。」


逆、逆。


おばさんほど明るい色を着ないと。


よけいに老けちゃうって。


なぁんて心で思ったけど、口には出来ない。


「あのお着物素敵。」


そう言って女性が指を指したのはうちの店で一番高い着物だ。


「当店の一押しの品です。」


女性はその着物にそっと手を触れた。


白くて華奢な指。


この私が一瞬見とれてしまうほど綺麗な指先をしている。


整った顔に洗練された身体。


この女性が自分と同じ歳だったらと思うと．．．。


否。


考えない様にしよう。


．．．。


「このお着物頂くわ。」


まじ．．．？


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