友愛日和
覚悟を決めたように、ユリが言葉を発する。

「・・・実はナナ、妊娠してるの。」

「えっ?」

それだけ言うのが、やっとだった。

「お願い、相手のことは聞かないで。ナナはそのことで、今までずっと悩んできた。あたしも最近知ったことで・・・。」

ユリは悔しそうに唇をかんだ。

そして続ける。

「色々とあって今は、あたしの家に一時的に避難させてるの。ただ、今のナナにとって、赤ちゃんを産むことにどんなメリットがあるのか。二人で悩んで、話し合った結果、出した答えなの。だから・・・、だからシュンくんには、とても迷惑な話しなんだけど、中絶手術の同意書にナナの相手として、サインをして欲しいの。」

ユリの哀願するような瞳の中に。

ナナに対しての。

とても深い愛情を感じたのは、僕の見間違えなのだろうか??

それでも。

正直言って僕は、なんと言っていいのかすら分からずに。

ユリのその瞳を、ただただ見つめ続けていた。
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