友愛日和
やっぱりユリは、ナナのことが本当に好きなんだ。

本気でナナの身を案じて。

本気でナナのことを助けようとしている。

その交換条件として。

たとえ自分の秘密を、すべてさらけ出したとしても・・・。


僕はレイジのために、ここまで出来るだろうか?


ふとそんな考えが、頭をよぎる。

そしてその瞬間、僕は覚悟を決めていた。


「分かった。僕で良ければ相手役として同意書にサインをするよ。」

「本当に?」

ユリの顔がパッと輝いた。

「うん。でもその代わり、やっぱりナナちゃんを妊娠させたのが誰なのかは、教えて欲しいな。」

僕はそう言った。


ユリは困ったような、悲しいような顔を一瞬したその後に。

地上に近づいて来ている、レイジとナナが乗っている観覧車を見つめると。

「そう、よね。やっぱりシュンくんには、それを知る権利があるよね。同意書にサインをしてもらうんだもの。」

そう言って、再び僕のほうを見た。
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