友愛日和
そのまま僕達は二人。

黙って、夕焼け色の空を眺めていた。


「なぁ、シュン~。」

レイジがその沈黙を破る。

「俺さぁ、失恋したんだよなぁ~。」

レイジがそのことを口にしたのは、あれ以来、初めてのことだった。


僕は空を眺めたまま。

「・・・うん。でもユリには、きっと最初から好きな人がいたんだと思うよ。」

そうとだけ言った。

「だよなぁ~。妊娠するほど好きな奴だもんなぁ~。俺なんかじゃ全然ダメだよなぁ~。」

本当のことを知っている僕にも。

どう答えていいのか、分からなかった。

だから。

「僕が保証するよ。レイジにはきっと、もっといい人が現れるって。もし万が一現れなかったら・・・。」

「あ、現れなかったらぁ~?」

レイジがこっちを向いたのが、なんとなく気配で分かった。


「僕が好きになってあげるよ。」

「ちょっ、なに言ってんだよぉ~!っていうか、俺、もうすでにお前のこと好きだしぃ~。残念だったな!」

「それはそれは、嬉しくて涙が出そうだよ。」

僕達二人は、声を出して笑った。
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