吹いて奏でて楽しみましょう


家に帰った私はすぐにまた日記を広げた。


何度でも見たくなる。
カラフルだけど派手ではなく、むしろシンプルにまとまっているのにちょっとした模様にインパクトがあってキレイだから目をひく。


文字でさえ、デザインの一つみたいだ。


「う~ムリだよ~。私にはこんな技術微塵もござーせん。」

勘弁!とばかりに机につっぷす。


すると


「おい、これいるか?」


と父が話しかけてきた。


言っとくが、うちは狭いアパートで自分の部屋などない。


今の状況はと言うと、押し入れでガサゴソと整理していた父が、私の様子におかまいなしに話しかけてきた。というものだ。


「ん?何?」


顔を上げて見ると父の手に黒く細長い…ケース?


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