吹いて奏でて楽しみましょう
それはそれとして、私たちは大会前日にみんなに渡す鶴を折っていた。
これは、全部活に共通することで、中体連前にこの習慣を知ったのだが、その時手伝った友達が、今度は私のを手伝ってくれたりした。
勉強や部活でいっぱいの中、いい息抜きになるのだが、
「これ間に合うのかな~」
期限が近づくとそれさえプレッシャーとなる。
「三年は聡美先輩、…
うげっ何人いるんだよ~」
指折り数えるがこの時ばかりは吹奏楽部の人数の多さが仇になる。
「なんとか、間に合った!
…ラッピングどうすればいいんだろ?」
みんな学校近くの文房具店によることが多くなった。
帰りに友達と物色していると、聡美先輩も来ていて私に話かけてきた。
「楓ちゃん、この色とこの色、どっちがいい?」
「え?」
先輩が手にしてたのはやや太めの糸。
何に使うんだろ?私のセンスでいいのかな?
どっちもいいけど…
「えと、私はこっちかな?」
「こっち?やっぱり!楓ちゃんはこれかな?と思ったけど念のため聞いてみたの。ありがとう。」
「いえ…何に使うんですか?」
「え?う~ん、秘密。そのうちわかるよ。」
いたずらっぽい笑顔で楽しそうに言う。
「?そうなんですか?」
「うん、じゃあね!」
「はい、さようならー」
今の会話でなんとなくわかったかも。
でも、違うかもしれないし…。
「楓ー、もう買い物終わった?」
「あーまだ。ちょっと待って。」