吹いて奏でて楽しみましょう
その電話は、急に来た。
「楓ー、電話よ~。」
朝7時。しかも日曜日。
「こんな朝から誰~?」
目をこすりながら聞く。
「吹奏楽部の宮城さんだって。」
宮城…、宮城といえば琴子?
「はいもしもし変わりました。楓です。」
「あ、楓?私琴子だけど。」
「うん、どうしたの?」
なんかいやな予感がする。
「今日のこと聞いてた?」
「今日?」
「全県合同練習会のこと。あたしさっき電話で聞いてさ~、それが今日だって今朝知ったんだけど、」
「え?ちょっと待って!何?練習会?今日?嘘でしょ?そんなの全然聞いてないよ。」
「あ、やっぱり。良かった私だけだと思った。楓、行く?」
「え~何時からなの?」
「知らないけど、学校集合は8時だって。」
あと一時間弱。学校までは20分かかる。
「う~ん、後で怖いから行くよ。琴子は?」
「楓が行くなら私も。」
「そっか、連絡ありがとう。じゃあ。」
慌てて準備して学校へ向かった。
「楓!」
「琴子、良かった~なんとか間に合ったね。」
「うん。楓、弁当持ってきた?」
「え?弁当?なんで?」
「ごめん、私も知らなくて、午後まであるから弁当持参なんだって。」
「えー!そんなの、持ってないよー。どうしよ。」
「私も持ってないんだ。今から買いに行こうかと思ったんだけど…」
学校前のスーパーは9時にならないと開かない。
「しょうがない、…何とか、なるでしょ。
けど、知らなかったの私たちだけ?」
「う~ん、みんなは昨日知ったみたい。多分連絡ミスかな…。」
はぁ~と二人でため息をついた。