吹いて奏でて楽しみましょう
私と琴子、それに先輩は体育館に戻った。
私たちの中学が集まっている場所へ行くと、まだ練習から帰ってきてない人もいて、それを待ちながらおしゃべりしていた。
「お昼どうする?」
「ここらへんのスーパーかどこかで…」
私たちが話していると、他の子が話しに入ってきた。
「ここらへん、お店ないんだって。」
「うそ…」
「本当、さっき弁当屋が来てたけど、予約してた人のみたいで。」
「向こうにマックがみえるんだけど…」
見てみると結構遠そう。
「どのぐらいかかるの?」
「たぶん、片道20分ぐらい…」
往復40分!それに今はちょうどお昼休みだし、混んでるかも…。
そんなに長いこと抜け出せない。
次の集合にも間に合わない。
それが一番怖い。
「みんなお昼ご飯食べるよー!」
先輩の声が聞こえた。
お昼ご飯無いのに…。
とりあえず、みんなと中に戻ると、早速弁当を広げている人もいた。
「琴子と楓お弁当持ってないの?」
茜が聞いてきた。
「うん。今朝知って…。」
「あたしの分ちょっとしかないけど、分けるよ。昼もたないよ。」
「えっ、でも…。」
「私のも分けるからちょっと待って。」
「私も。」
いつも部活で一緒に弁当を食べるみんなが次々とおすそ分けしてくれた。
これは、まさしく遠足に弁当を忘れた子のパターンだ。
「ありがとう。」
照れくさくて苦笑いしながら、好意を受けた。