吹いて奏でて楽しみましょう
「すごい迫力だった。」
「ね~」
「ていうか、自分の音が聞こえなかったし。」
「私も。」
「何だったんだろね。」
「まぁ、練習は勉強になったけど。」
帰りの車を待つ間、私たちは各々しゃべりあっていた。
今回は3列のワゴン車に分譲して帰ることになった。
といっても、一度に全員乗れるわけないので、2回に分けての送迎。
私たちは後者の方で、駐車場にて待機中だ。
結構待ち時間が長いためか、先輩と話してる子もいる。
「ホルンの子って先輩と仲良いよね。」
見ればさっきから長いこと二人でしゃべっている。
「うん。何話してんだろうね。」
「練習の時も仲良いんだよ。」
「へ~」
はっきり言って、これは結構珍しい。
先輩の前では緊張してしまうものだが、彼女達は楽しそうに話している。
しかも話がつきることもないようだ。
先輩ウケがいいんだろうか?
「他の先輩ともそうなの?」
「ん~?どうだろう?」
「でも何話してるか気になるよね。」
「近くで聞いてみようか?」
「いいね~」
「なんかそれって怪しくない?」
「じゃ、楓から。」
「え?なんで私?」
そんな冗談を言ってると、車が帰ってきた。