吹いて奏でて楽しみましょう
冬の訪れ
12月に入った。
今年も最後の月だ。
とはいえ、沖縄はまだそこまで寒くはないが。
聡美先輩との日記も3冊目に入ったが、部活に顔を出すことも少なくなったことが、先輩達との別れの日が近づいているという感じをもたらしていた。
しかし、そんなある日、急に先輩達が頻繁に顔を出すようになる。
しかも、全員ではない。
「アンサンブル?」
私は茜に問い返す。
最近、茜とはよく行動を供にする。
「そう、アンサンブルコンテストが来年あるんだって。」
「アンサンブルって?」
「う~ん、いくつかの楽器で演奏することだよ。たぶん。いつもの合奏よりは少ない数で。
それで、選ばれた人がコンクールに出るの。」
「へ~。誰がでるの?」
「今回は金管楽器の人たちで構成するみたい。」
「聡美先輩も?」
「もちろん。詳しいメンバーは知らないけど、トランペットの美里も出るらしいよ!」
「え!?美里?」
美里は私達と同じ一年生だ。
「うん!唯一の一年。すごいよね~。」
「本当~。美里ってなんかおっとりした感じだけど、選ばれるってことはそうとう上手いんだね。」
私は美里のイメージを思い浮かべて言った。
美里はトランペットの一年生で、他にも二人いるのだが、いつも三人でいて、みんな控えめな感じだ。
三人とも華奢でかわいく、美里は目がパッチリして美人の部類にはいる。
「予想外だな~。」
「でも、周りはみんな先輩だから大変そうだね。」
「…確かに。」
自分に置き換えてみて、そのプレッシャーに身震いする。