吹いて奏でて楽しみましょう
音楽室。
「聡美先輩!卒業おめでとうございます!」
私は部室に寄っていた聡美先輩を見つけ、花束を渡した。
「私に!?ありがとう!!きれ~」
聡美先輩はしばらく花束をめでたあと、思い出したように、
「あ、これ!楓ちゃんに一番に書いてほしくて。」
卒業アルバムを渡された。
「え!?一番ですか?緊張するな~。」
「大丈夫。なんでもいいから。」
しばらく悩んで書き込んだ言葉は、なんだか月並みに思えた。
先輩は笑顔で受け取ると、
「ありがとう。」
と言って、
「はい、これ。私の福岡の住所。」
と一枚の紙をくれた。
「向こうに行っても手紙書くから良かったら返事ちょうだい?」
「はい!ありがとうございます。」
聡美先輩の少しずつの“特別”が嬉しくて、私は笑顔になった。
今日が最後の日。
そう思うと少し泣けてきた。
でも、先輩も私にもこれから新たな始まりがある。